SharePoint Serverの脆弱性CVE-2026-45659の悪用
米国のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は、Microsoft SharePoint Serverの逆シリアル化の脆弱性CVE-2026-45659を、2026年7月1日に既知の悪用された脆弱性(KEV)のカタログへ加えた[12]。KEVの項目は、既知のランサムウェアの攻撃活動での使用を「Known」〔注1〕としている[12]。
脆弱性の内容
MicrosoftのSecurity Update Guideによると、Microsoft Office SharePointで信頼できないデータを逆シリアル化することにより、認可された攻撃者がネットワーク経由でコードを実行できる[1]。少なくともSite Memberの権限を持つ認証された攻撃者が、SharePoint Server上でリモートからコードを実行しうる[1]。管理者などの高い権限は要らない[1]。
時系列
| 日付 | 主体 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | Microsoft | SharePoint Server 3製品のセキュリティ更新KB5002863・KB5002870・KB5002868を公開し、CVE番号を予約した | [3、4、5、6] |
| 2026年 | Microsoft | Security Update GuideでCVE-2026-45659を公開した(改訂1.0) | [1] |
| 2026年 | CVE Program、NVD | CVEレコードを公開し、NVDに登録した | [6、7] |
| 2026年 | Microsoft | Security Update Guideの改訂1.1を出した | [1、11] |
| 2026年 | CISA | CVEレコードのSSVCの評価で、悪用(Exploitation)を「active」とした | [6] |
| 2026年 | CISA | KEVへの追加を伝えるアラートを公表した | [13] |
| 2026年 | CISA | SharePointの堅牢化を促すアラートを公表した | [14] |
| 2026年 | CISA | KEVカタログを更新し、CVE-2026-45659がランサムウェアのグループに悪用されていると確認した | [17] |
対象の製品と版
| 製品 | 影響を受ける版 | 修正版 | 資料 |
|---|---|---|---|
| SharePoint Server Subscription Edition | 16.0.0以上16.0.19725.20280未満 | KB5002863(16.0.19725.20280) | [2、6] |
| SharePoint Server 2019 | 16.0.0以上16.0.10417.20128未満 | KB5002870(16.0.10417.20128) | [2、6] |
| SharePoint Enterprise Server 2016 | 16.0.0以上16.0.5552.1002未満 | KB5002868(16.0.5552.1002) | [2、6] |
Microsoftは製品ライフサイクルのページで、SharePoint Server 2019と2016の延長サポートの終了日を、どちらも7月15日としている[9、10]。
悪用の状況
Microsoftの評価は、公開済み(Publicly Disclosed)と悪用(Exploited)がともに「No」で、悪用の可能性は「Exploitation Less Likely」である[1、11]。
CISAは、CVEレコードに付けたSSVCの評価で、自動化の可否(Automatable)を「no」、技術的な影響(Technical Impact)を「total」とした[6]。KEVの項目では対応の期限を7月4日とし、フォレンジックのトリアージ(forensicTriage)の欄を「Yes」にしている[12]。
TenableのFAQでは、CISAは7月14日の注意喚起で、オンプレミスのSharePoint Serverの脆弱性3件の悪用を確認した[15]。対象はCVE-2026-32201、CVE-2026-45659、CVE-2026-56164である[15]。Tenableが伝えたCISAの説明では、攻撃者はこれらを組み合わせてSharePoint Serverに侵入した[15]。侵入の後、IISのマシンキーの抽出、逆シリアル化の手法による永続化、マルウェアの展開を行った[15]。
Tenableは、7月16日の段階で公開の概念実証コードは無いとも書いた[15]。
修正と回避策
Microsoftは改訂1.1で、この脆弱性は5月に出た更新で対処済みだったが、5月のセキュリティ更新の一覧から誤って漏れていたと説明した[1、11]。情報のみの変更で、5月の更新を入れた利用者は追加の対応が要らないとした[1、11]。5月12日に出た3製品の更新の説明は、それぞれ7件のCVEを挙げ、CVE-2026-45659を含んでいない[3、4、5]。SharePoint Workflow Managerを使う場合は、KB5002870の前にKB5002799を入れる必要がある[4]。
CISAはKEVの項目で、開発元の指示に従って緩和策を適用するよう求めた[7]。適用はBOD 26-04「Prioritizing Security Updates Based on Risk」と「Forensics Triage Requirements」に従うとした[7]。クラウドサービスにはBOD 26-04の該当する指針を当て、緩和策が無ければ製品の使用を中止するよう求めた[7]。各資産のインターネットへの露出の評価と、BOD 26-04の修正の指針の順守は、関係者の責任とした[7]。
Security NEXTは7月17日の記事で、CISAが注意喚起でSharePoint Serverの利用者に求めた対策を報じた[19]。
- 最新のパッチの適用と、正常に導入されたことの確認[19]
- AMSIの有効化の確認と監視[19]
- AMSIとMicrosoft Defender Antivirusの検出に対する、インシデント対応計画の実行[19]
- 侵害の状態から復旧したうえでの、キーのローテーション[19]
- インターネットへの直接の公開の回避(認証や検証の機能を備えたレイヤー7のリバースプロキシの利用、管理画面への外部アクセスの遮断、ログ監視の強化)[19]
Tenableの説明では、CISAは注意喚起で、鍵の収集の痕跡を先に除かない限り、鍵のローテーションだけでは完全な修復にならないとした[15]。
未公表の事項
- 逆シリアル化が起きるSharePointの機能
- CISAが悪用と判断した根拠と、悪用を観測した組織
- 悪用を受けた組織の数
- 悪用の主体(Tenableは、7月16日の段階でCISAもMicrosoftも特定の脅威アクターに帰属させていないと書いた[15])
- CISAがランサムウェアでの使用を「Known」とした根拠
注
- 〔注1〕Tenableの7月16日のFAQの表では、この脆弱性の既知のランサムウェアでの使用は「Unknown」だった[15]。
出典
当事者
- [1]Microsoft Corporation『Microsoft SharePoint Remote Code Execution Vulnerability』(2026年5月21日公開、2026年5月26日更新)
- [2]Microsoft Corporation『Security Update Guide 影響を受ける製品(CVE-2026-45659)』(2026年5月21日公開)
- [3]Microsoft Corporation『Description of the security update for SharePoint Server Subscription Edition: May 12, 2026 (KB5002863)』(2026年5月12日公開)
- [4]Microsoft Corporation『Description of the security update for SharePoint Server 2019: May 12, 2026 (KB5002870)』(2026年5月12日公開)
- [5]Microsoft Corporation『Description of the security update for SharePoint Server 2016: May 12, 2026 (KB5002868)』(2026年5月12日公開)
- [11]Microsoft Corporation『May 2026 Security Updates』(2026年5月12日公開)
公的機関
- [6]The MITRE Corporation『CVE-2026-45659』(2026年5月22日公開、2026年8月11日更新)
- [7]National Institute of Standards and Technology『CVE-2026-45659 Detail』(2026年5月22日公開、2026年7月23日更新)
- [12]Cybersecurity and Infrastructure Security Agency『CISA Catalog of Known Exploited Vulnerabilities』(2026年7月1日公開)
- [13]Cybersecurity and Infrastructure Security Agency『CISA Adds One Known Exploited Vulnerability to Catalog』(2026年7月1日公開、保存記録のみ) 保存記録
- [14]Cybersecurity and Infrastructure Security Agency『CISA Urges SharePoint Hardening After New Exploitations』(2026年7月14日公開、保存記録のみ) 保存記録
調査・観測
報道機関
- [17]The Hacker News, Inc.『SharePoint RCE CVE-2026-45659 Added to CISA KEV After Active Exploitation』(2026年7月2日公開、2026年8月11日更新)
- [19]ニュースガイア株式会社『「SharePoint Server」の複数脆弱性悪用で対策呼びかけ - 米当局』(2026年7月17日公開)
背景資料
- [9]Microsoft Corporation『SharePoint Server 2019 - Microsoft Lifecycle』(2018年10月22日公開)
- [10]Microsoft Corporation『SharePoint Server 2016 - Microsoft Lifecycle』(2016年5月1日公開)
更新記録
- 2026年7月2日:公開した。
- 2026年7月14日:CISAの7月14日のアラート(出典14)を「時系列」に加えた。
- 2026年7月16日:Tenable, Inc.の7月16日のFAQ(出典15)を加え、「悪用の状況」「修正と回避策」「未公表の事項」「注」を改めた。
- 2026年7月17日:Security NEXTの7月17日の記事(出典19)を加え、「修正と回避策」を改めた。
- 2026年7月23日:National Vulnerability Databaseの7月23日の更新版(出典7)に合わせて、「脆弱性の内容」と「修正と回避策」のKEVの項目の記述を改めた。
- 2026年8月11日:CVEレコードの8月11日の更新(出典6)とThe Hacker Newsの記事の8月11日の追記(出典17)を加え、リードと「時系列」を改めた。
