Entra IDの遠隔コード実行の脆弱性CVE-2026-69836

カテゴリ
脆弱性の公表
目次
  1. 脆弱性の内容
  2. 時系列
  3. 悪用の状況
  4. 修正と回避策
  5. 未公表の事項
  6. 注
  7. 出典
  8. 更新記録
  9. 関連記事

Microsoft Entra IDの脆弱性CVE-2026-69836は、信頼できないデータの逆シリアル化により、権限の無い攻撃者がネットワーク経由でコードを実行できるもので、Microsoftが既に完全に緩和した⁠[1]。Microsoftは2026年8月20日にセキュリティ更新ガイドでこの脆弱性を公表し、Entra IDの利用者が取る対応は無いとした⁠[1]。

脆弱性の内容

表1:脆弱性の評価
項目値資料
題Microsoft Entra ID Remote Code Execution Vulnerability(リリース番号2026-Aug)⁠[1]
CVSS 3.1(Microsoftが算出)基本値10.0、現状値8.7⁠[1]
CVSSのベクトル(Microsoftが算出)CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:C/C:H/I:H/A:H/E:U/RL:O/RC:C⁠[1]
深刻度と影響Critical、Remote Code Execution⁠[1]
CWECWE-502(信頼できないデータの逆シリアル化)⁠[1]
NVDの表示Microsoftの基本値をCRITICALとして掲載。攻撃元区分はネットワーク、攻撃条件の複雑さは低、必要な特権と利用者の関与は不要、スコープは変更あり。状態はAnalyzed⁠[3]

CVEの記録では、影響を受ける製品はMicrosoft Entraで、CPEはmicrosoft_entra_idである⁠[2]。記録には、提供者だけがホストするサービスを示すexclusively-hosted-serviceのタグが付いている⁠[2]。

Microsoft Learnの説明では、Microsoft EntraはIDとネットワークアクセスの製品群の名前で、Microsoft Entra IDはその製品の1つである⁠[6]。Microsoft Entra IDはAzure ADの新しい名前で、Azure Active Directory、Azure AD、AADの名前を置き換える⁠[6]。

Microsoftは8月の月次のCVRF文書で、この脆弱性の謝辞にMicrosoft所属の研究者1名とAnonymousを載せた⁠[7]。

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時系列

時系列
日付主体内容資料
2026年8月3日-CVE番号が予約された⁠[2]
2026年8月20日Microsoftセキュリティ更新ガイドで脆弱性の情報を公開した(改訂1)⁠[1]
2026年8月20日-CVEの記録が公開された⁠[2]
2026年8月20日NVD記録を公開した⁠[3]
2026年8月21日Microsoft改訂1.1で「Exploited」を「No」に訂正した⁠[1]
2026年8月21日CISACVEの記録にSSVCの評価を加えた⁠[2]

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悪用の状況

The Hacker Newsの記事によると、公表時のセキュリティ情報は悪用可能性の評価の表で「Exploited」を「Yes」としており〔注1〕、同誌がコメントを求めた後にMicrosoftが訂正した⁠[4]。Microsoftの広報担当者は同誌に、問題を特定して修正で対処し、透明性を高めるためにこのCVEを公開したと述べた⁠[4]。

Microsoftは改訂1.1で、この脆弱性は実環境で悪用されておらず、変更は情報のみのものだと記した⁠[1]。最新の改訂は、一般への公開(Publicly Disclosed)をNo、悪用(Exploited)をNo、悪用可能性の評価をExploitation Less Likelyとしている⁠[1、7]。

Help Net Securityは8月24日の追記で、Microsoftが同誌に、実環境で悪用されていないと確認したと報じた⁠[9]。

CVEの記録では、CISAが加えたSSVCの評価はExploitationがnone、Automatableがyes、Technical Impactがtotalである⁠[2]。

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修正と回避策

SecurityWeekは、Microsoftがこの問題を社内で発見し、サーバー側で修正したと報じた⁠[8]。

セキュリティ更新ガイドのFAQでは、このCVEの目的は透明性を高めることにあり、参照先にMicrosoft Security Response Center(MSRC)のブログ『Toward greater transparency: Unveiling Cloud Service CVEs』が挙がっている⁠[1]。MSRCは2024年6月27日のこのブログで、顧客が更新を導入する必要や他の対応が無くても、重大なクラウドサービスの脆弱性にCVEを発行すると表明した⁠[5]。

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未公表の事項

  • 逆シリアル化が起きる機能・エンドポイント・入力の経路
  • 影響を受けたテナント・利用者の数
  • 緩和を完了した日と、脆弱だった期間
  • 修正前の期間に不正なアクセスが無かったことを確かめた方法
  • 公表時に「Exploited」を「Yes」とした理由(Cybersecurity Diveは、Microsoftが状態の変更の理由をすぐには説明しなかったと報じた⁠[10])

注

  • 〔注1〕@ITも、公開当初の悪用状況が「Yes」だったと報じた⁠[12]。ITmediaエンタープライズは、Microsoftが「公開時点で悪用例は確認されておらず」としていると報じた⁠[11]。

出典

当事者

公的機関

報道機関

背景資料

更新記録

  • 2026年8月30日:公開した。
  • 2026年10月18日:NVDの記録の10月18日の更新(出典3)を加え、「脆弱性の内容」の表のNVDの行を改めた。
  • 2026年10月30日:CVE Programの記録の10月30日の更新(出典2)を加え、「脆弱性の内容」の製品の記述と「悪用の状況」のSSVCの評価の段落を改めた。
  • 2026年11月2日:Microsoftの8月の月次のCVRF文書の11月2日の更新(出典7)を加え、「脆弱性の内容」の謝辞の段落と「悪用の状況」の最新の改訂の段落を改めた。

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