MozillaのGPG署名サブキーの非公開リポジトリへの誤コミット
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Mozillaの2026年8月10日の発表によると、FirefoxとThunderbirdの一部のリリース成果物の署名に使っていたGPG署名サブキーの、暗号化されていない写しが非公開のGitHubリポジトリに誤ってコミットされていた[1]。Mozillaは署名を新しいサブキーに切り替え、旧署名鍵を失効させた[1]。
経緯
Mozillaのセキュリティブログの告知によると、新しいサブキーで署名するのは、Linux向けのtarball、RPMパッケージ、チェックサムファイルである[1]。入手できる監査記録を調べた範囲では、鍵がリポジトリにあった間に権限の無い者がアクセスした証拠は見つからなかった[1]。リポジトリにアクセスできたのはMozilla内の少人数のグループで、全員が別の経路で鍵への正当なアクセス権を既に持っていた[1]。
Mozillaの2025年4月1日の告知では、Firefoxのリリースのマニフェストに署名するGPG鍵の期限が近いため、新しい署名サブキーに切り替えるとした[2]。このとき告知したサブキーの指紋は09BE ED63 F346 2A2D FFAB 3B87 5ECB 6497 C1A2 0256で、2027年3月13日に期限が切れる予定だった[2]。
The Hacker Newsは、今回失効したのはこの2025年4月に告知されたサブキーだと報じた[4]。同紙はMozillaの署名用リポジトリにある公開鍵の全体を調べ、2015年以降の過去の署名サブキー5本はすべて期限切れで退役しており、この鍵の失効は初めてだと報じた[4]。
対応と現状
Mozillaは告知で、同様の問題を防ぐ安全策を追加したと説明した[1]。主鍵の指紋は14F2 6682 D091 6CDD 81E3 7B6D 61B7 B526 D98F 0353である[1]。新しい署名サブキーの指紋は827E 6586 0867 9618 CD34 9F93 678E 455D 7676 7AA3で、2028年8月5日に期限が切れる[1]。
The Hacker Newsの記事によると、新しい鍵と一緒に公開された失効証明書の理由コードは2(鍵の素材が危殆化した)で、生成日時は8月6日11時14分(UTC)だった[4]。証明書には「We no longer trust this key.」の注記があった[4]。失効はサブキーに対するもので、引き続き使う主鍵が署名している[4]。Debian・Ubuntu向けのAPTリポジトリは別の鍵を使い、.debは影響を受ける形式に含まれていないとも報じた[4]。
署名の検証と鍵の入手
Mozillaは、ほとんどの利用者は対応を要しないとし、対応が要りうる場合として2つを挙げた[1]。1つはGPG署名を手作業で検証している利用者で、新しい署名鍵と旧鍵の失効を取り込む必要がある[1]。もう1つはFirefoxのRPMパッケージの利用者で、手作業での対応が要りうる[1]。
新しい公開鍵と旧鍵の失効は、最新のFirefox NightlyのKEYファイル、keys.openpgp.org、告知の本文の鍵ブロックから入手できる[1]。GPGの署名の性質上、失効を取り込んだ後は、旧鍵で署名されたリリースを検証できなくなる[1]。
dnfとzypperでの手順
RPMのパッケージ管理ツールは、GPG鍵の切り替えと失効の扱いがツールごとに異なるとMozillaは説明した[1]。Thunderbirdは公式のRPMパッケージを提供していないため、RPMに固有の対応は要らない[1]。
| ディストリビューション | 鍵の置き換え | 求めた対応 | 資料 |
|---|---|---|---|
| Fedora 43以降 | 次回の更新でdnfが更新後の鍵を取得する | 取り込みを確認する。受け入れる前に、表示された指紋が新しい署名サブキーの指紋と一致することを確かめる | [1] |
| Fedora 42以前、RHEL・Rocky・AlmaLinux | dnfは鍵を自動で置き換えられない | 旧鍵を手作業で削除し、packages.mozilla.orgの署名鍵を取り込み直す | [1] |
| openSUSE・SUSE系 | zypperは鍵を自動で置き換えない | 旧鍵を手作業で削除する | [1] |
Fedora 42以前とRHEL・Rocky・AlmaLinuxでは、更新が「Import of the key didn't help, wrong key?」か「The GPG keys listed for the mozilla repository are already installed but they are not correct for this package」で失敗する[1]。Mozillaは、新しい鍵を取り込む前に旧署名鍵を削除する必要があるとした[1]。旧鍵が残ったままrpm --importを実行すると、鍵が更新されていなくても成功と表示されうる[1]。openSUSE・SUSE系では、更新が「Signature verification failed」か「NOKEY」で失敗する[1]。
未公表の事項
- 旧サブキーの写しをコミットした経緯と、コミット先のリポジトリ
- 写しがリポジトリにあった期間と、コミットに気付いた日・経緯
- 追加した安全策の内容
- 旧サブキーで署名されたリリースの数
出典
当事者
- [1]Mozilla『Updated GPG key for signing Firefox and Thunderbird Releases』(2026年8月10日公開)
報道機関
- [4]The Hacker News『Mozilla Revokes Firefox and Thunderbird Linux Signing Key After Key Lands in Private Repo』(2026年8月11日公開)
背景資料
- [2]Mozilla『Updated GPG key for signing Firefox Releases』(2025年4月1日公開)
更新記録
- 2026年8月13日:公開した。
