keyvなどnpmパッケージの自己増殖型ワームによる侵害

カテゴリ
マルウェア
目次
  1. 報告の内容
    1. 感染の広がりと系統
    2. 認証情報の窃取と永続化
    3. C2の宛先の切り替え
  2. 時系列
  3. 根拠と範囲
  4. 関係者の対応
  5. 未公表の事項
  6. 注
  7. 出典
  8. 更新記録

Microsoft Threat Intelligenceによると、npmのサプライチェーン攻撃が無関係の複数の公開者の400を超えるパッケージに及び、悪性の版に自己増殖型ワームが入っていた⁠[3]。Aikido Securityによると、攻撃者は2026年8月4日にkeyvの保守者のGitHubアカウントを侵害した⁠[4]。npmのkeyvの記録で、版の一覧に6.0.0は無く、最新は10月6日公開の6.1.0である⁠[14]。

報告の内容

StepSecurityは、このワームをChainDropと呼んだ⁠[2]。同社の説明では、攻撃者はリリース用のコミットとタグをpushし、各プロジェクトのリリースのワークフローに悪性の版を公開させた⁠[2]。主なパッケージは、npmのOIDCのTrusted Publishingを通じて、有効なSLSAの来歴証明付きで公開された⁠[2]。

Datadog Security Labsの報告によると、keyvのリポジトリに悪性のコミットがあり、同じ利用者がcacheableとectoにも同様のコミットをpushした⁠[6]。keyvの悪性のコミットは後にGitHubから削除された⁠[6]。GMO Flatt Securityは、あるnpmユーザーが管理に関与する複数のnpmパッケージに8月4日に悪性コードが注入されたと説明した⁠[9]。

感染の広がりと系統

Microsoftは、多くの悪性の版には対応するソースコードのコミット・プルリクエスト・タグ・正規のリリースが無かったと報告した⁠[3]。SecurityWeekは、マルウェアが盗んだGitHubの認証情報とGitHub Actionsを使ってさらにリポジトリに感染するとのJFrogの説明を報じた⁠[11]。

表1:報告ごとのペイロードの系統
示した組織系統資料
StepSecurityShai-Hulud 2.0のワームの子孫⁠[2]
MicrosoftMini Shai-Huludの亜種⁠[3]
Wiz"Mini" Shai-Huludの系統の子孫で、TeamPCPが公開したリポジトリを強く下敷きにしている⁠[5]

認証情報の窃取と永続化

StepSecurityの報告では、ワームはnpm・GitHub・AWS・Kubernetes・Vaultの認証情報を集め、.claudeと.vscodeに永続化の仕掛けを置く⁠[2]。アクセスできるリポジトリの枝に.vscode/tasks.json・.claude/settings.jsonなどを書き込み、リポジトリを開いたときにドロッパーが再び動くようにする⁠[2]。盗んだトークンが取り消されると攻撃者の処理を動かす監視の仕組みも入れている⁠[2]。

Microsoftは、リポジトリに入れられた設定ファイルにより、npmのインストールが終わった後もClaudeやVisual Studio Codeの利用でペイロードが再び起動しうると説明した⁠[3]。

Aikido Securityの報告によると、盗んだデータは「Shai-Hulud: Here We Go Again」の説明を持つ公開のGitHubリポジトリに送られる⁠[4]。The Hacker Newsは、SafeDepが8月4日に作られたこの説明の公開リポジトリを546件数え、確定した被害者の数ではないとしたと報じた⁠[12]。

C2の宛先の切り替え

StepSecurityの報告では、ワームはC2の宛先をEthereumのコントラクトから取り出し、観測した宛先はnpm-cache.comだった⁠[2]。Wizは、宛先を返すコントラクトが当初3つのドメインを持ち、後にこのドメインだけを返すよう更新されたと説明した⁠[5]。Unit 42は、攻撃者が8月4日の遅くにEthereumの1件の取引でC2の基盤を切り替えたと報告した⁠[8]。

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時系列

時系列
日付主体内容資料
2026年8月4日-9時2分(UTC)に悪性のコミットがkeyvのリポジトリのmainにpushされ、9時35分にkeyv 6.0.0が公開された⁠[2]
2026年8月4日StepSecurity9時40分〜13時20分(UTC)に悪性のnpmパッケージの公開の急増を検知した⁠[2]
2026年8月4日-10時9分〜10時14分(UTC)にcacheableのリポジトリから9パッケージの悪性の版が公開された⁠[2]
2026年8月4日-10時17分(UTC)にcacheableのリポジトリのissueで最初の公の警告が出た⁠[2]
2026年8月4日npm10時39分(UTC)に悪性の版の公開の取り消しを始めた⁠[2]
2026年8月4日-11時15分(UTC)ごろにkeyvが5.6.0に戻った⁠[2]
2026年8月4日-15時15分(UTC)に新しいC2ドメインが登録された⁠[8]
2026年8月4日Unit 4216時10分(UTC)に新しいC2ドメインへの最初の接続を観測した⁠[8]
2026年8月4日-18時10分(UTC)までに初期に侵害された11パッケージがすべて安全な版に戻った⁠[2]
2026年8月6日シンガポールのサイバーセキュリティ庁勧告AD-2026-009を出した⁠[1]

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根拠と範囲

StepSecurityは侵害を初期の侵害とワームによる拡散に分け、初期の侵害を保守者の3つのリポジトリ由来の11パッケージとした⁠[2]。ワームによる拡散は433パッケージの2,201の版で、同社は一覧が不完全である可能性が高いと説明した⁠[2]。

表2:示した組織ごとの侵害の件数
示した組織パッケージ版集計の時点・留保資料
StepSecurity4442,2124時間足らずの間の数。2026年8月4日18時10分(UTC)の数で、なお増えている⁠[2]
Aikido Security少なくとも44413812026年8月5日13時15分(CEST)の更新⁠[4]
SecurityWeek4402,200を超える-⁠[11]
SafeDep(The Hacker Newsの報道)420のパッケージ名(9組織)1,684-⁠[12]
Wiz、Elastic Security Labs400を超える-Elastic Security Labsは報告の執筆時の数⁠[5、7]
シンガポールのサイバーセキュリティ庁-1,300を超える-⁠[1]

シンガポールのサイバーセキュリティ庁の勧告では、侵害された版のパッケージの月間ダウンロードは合計で20億〔注1〕に当たる⁠[1]。

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関係者の対応

StepSecurityは、認証情報を更新する前にトークンの監視の仕組みを除くよう求めた⁠[2]。

シンガポールのサイバーセキュリティ庁は勧告で、影響を受けた版を開発・ビルド・CI/CDの環境から除くよう推奨した⁠[1]。影響を受けたシステムは侵害されたものとして扱い、クラウドの認証情報・GitHubのトークン・SSHの鍵などを更新することも勧めた⁠[1]。

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未公表の事項

  • 保守者のGitHubアカウントへの初期の侵入の経路
  • 攻撃者の名前
  • 認証情報を盗まれた開発者・組織の数
  • 保守者・npm・GitHubによる事象の声明
  • 悪性の版の回収が終わった時期

注

  • 〔注1〕Aikido Securityは8月5日の更新で、月間のインストールの合計を20億を超えるとした⁠[4]。

出典

公的機関

調査・観測

報道機関

背景資料

  • [14]npm, Inc.『keyv』(2017年7月7日公開、2026年10月6日更新)

更新記録

  • 2026年8月13日:公開した。
  • 2026年10月6日:npm, Inc.が10月6日に更新したkeyvの記録(出典14)を加え、リードの最後の文を改めた。

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