台灣高鐵の手持無線電システムへの侵入

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目次
  1. 経緯
    1. 捜査機関が示した手口
    2. 観測主体の分析
  2. 時系列
  3. 影響範囲
  4. 対応と現状
    1. 捜査と起訴
    2. 立法院交通委員会の質疑
    3. 説明の食い違い
    4. 無線電手機の管理の見直し
  5. 未公表の事項
  6. 注
  7. 出典
  8. 更新記録

警察廣播電臺によると、台灣高鐵の無線電が盗用され、2026年4月5日深夜に臺中站の無線電手機から緊急の信号が送られた⁠[1]。営業列車3本が手動の緊急ブレーキで止まり、列車の遅れは計48分〔注1〕だった⁠[1]。芋傳媒によると、桃園地方検察署は10月7日に大学生と男性を起訴し、大学生に懲役2年を求めた⁠[8]。

経緯

中央廣播電臺(Rti)の4月29日の記事によると、台灣高鐵の手持無線電は営業管制区での作業の通信に使い、一部の機種に告警の発報機能がある⁠[2]。告警が出ると区域内の列車の運転士に通知され、運転士は規定により直ちに手動で緊急停車する⁠[2]。告警の起動には特別な検証の手順が要り、社内の人員でも専門の訓練を受けていなければ起動できない⁠[2]。

台灣高鐵は、行控中心が発信者に連絡を試みたものの正しい告警の理由を得られず、相手は言葉が矛盾したまま電源を切ったと説明した⁠[2]。手持無線電の位置も全面的に調べたが、紛失や異常は見つからなかった⁠[2]。

ETtodayの4月29日の記事では、連絡を受けた相手は、ポケットに入れていて誤って押した、左営基地にいると話した⁠[11]。告警を出した無線機は六家基地の保管庫にあって紛失しておらず、持ち主は休暇中だった⁠[11]。

資安人科技網は、Dark Readingの記事の転載で、台灣高鐵が使う緊急通信の規格はTETRA(地面集群無線電)で、大学生はネットで買ったソフトウェア無線(SDR)の機器を使ったと報じた⁠[5]。

捜査機関が示した手口

警察廣播電臺は、大学生(23)が悪意のあるソフトウェアでパラメータを走査し、無線電を盗用したと伝えた⁠[1]。

Taiwan Newsが報じた桃園地方検察署の4月30日の説明では、大学生にはコンピュータシステムの脆弱性を突いて中核のネットワークに入り、電磁妨害の機器を使った疑いがあった⁠[4]。

芋傳媒が伝えた桃園地方検察署の起訴の発表によると、大学生は4月5日22時27分に桃園高鐵站で、パラメータを書き込んだ無線機でTetraシステムのチャンネルに入り、その後台中高鐵站付近のバスの車内でGeneral Alarm(GA)の信号を送った⁠[8]。警報は行控中心のシステムから付近の列車に自動で伝わり、手動で緊急ブレーキをかけたのはT1698・T1296・T0565と回送列車T6497の運転士だった⁠[8]。男性が無線機とTetraシステムのパラメータを提供したが、大学生がGAの信号の送信に使うと知っていた証拠は無い⁠[8]。

三立新聞網は起訴書の内容として、大学生が経験から台灣高鐵の内部の使用者ID(Individual Short Subscriber Identity)を推測し、Tetraシステムが機器の正当な認可を確かめられない脆弱性を使って専用チャンネルに入ったと報じた⁠[9]。告警は、維修部門所属と表示されたTetraの無線電手機から、最高等級のGeneral Alarmとして出た⁠[9]。

観測主体の分析

Midnight Blueは台湾の報道と公開情報をもとにした分析で、台灣高鐵のTETRAは380MHz帯で運用され、Motorola DIMETRAの交換局と指令システムをつないでいるとみた⁠[10]。そのネットワークは認証が無く、暗号化されていないかTEA1を使っていた可能性が高いと評価した⁠[10]。共犯が渡したのは特定の無線機のIndividual Short Subscriber Identity(ISSI)とみられ、認証鍵が含まれていた可能性はごく低いとした⁠[10]。

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時系列

時系列
日付主体内容資料
2026年4月5日23時23分台灣高鐵行控中心が、維修部門所属の手持無線電から台中路段で発報された告警(GA)を受けた⁠[2]
2026年4月5日23時43分台灣高鐵路線の巡検を終えて安全を確かめ、正常営業に戻った⁠[2]
2026年4月6日2時ごろ台灣高鐵地元の警察に報案し、続いて鐵路警察局と刑事警察局電偵大隊に通報した〔注2〕⁠[2]
2026年4月13日鐵路警察局桃園地方検察署に通報した⁠[8]
2026年4月24日台灣高鐵告訴を提出した⁠[2]
2026年4月28日桃園地方検察署捜索票で大学生の住居と勤務先の計3か所を捜索し、無線機器と電子装置を押収した⁠[8]
2026年4月29日桃園地方検察署取り調べの後、勾留の必要は無いとして大学生に10万元の保釈を命じた⁠[3]
2026年4月30日桃園地方検察署大学生に鉄路法第68条の3第1項第1・2款、刑法第184条・第360条の罪の疑いがあると発表した⁠[16]
2026年5月8日交通部鐵道局鉄路法第41条に基づき、台灣高鐵に臨時検査を行った⁠[18]

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影響範囲

The Next Webの5月17日の記事では、大学生は新北市消防局と桃園空港MRTの無線の周波数にも入ることができた⁠[6]。

知新聞は4月30日の記事で、大学生が2024年8月にネットで悪意のあるソフトウェアを買い、高鐵・桃捷・新北市消防局のチャンネルを破って無線の内容を傍受していたと報じた⁠[15]。高鐵の専用無線機は計500台あり、検察は使われていない無線機の番号を大学生がどう見つけたかを疑問視した⁠[15]。

ETtodayの4月30日の記事では、桃園市消防局が、使う無線機には内部コードが書き込まれて複製できず、調べた結果紛失も無いと説明した⁠[12]。桃捷公司も、各無線手機に同じ内部コードの2台目は無く、異常な機器の群組への参加も無いとして、盗まれたことを否定した⁠[12]。

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対応と現状

捜査と起訴

東森新聞は、桃園地方検察署の4月30日の発表として、検察長が国家の重要な公共運輸の安全に関わる事件とみて、重大刑案専組の検察官に捜査を指揮させたと報じた⁠[16]。

CTWANTの5月1日の記事では、警察は基地局のデータと周辺の監視カメラの映像で大学生を絞り込み、4月28日に台中市の借家で拘提した⁠[3]。押収品は無線電対講機11台、ノートパソコン、フィルタなどだった⁠[3]。大学生は無線電の愛好者で、三等の無線電の免許を持ち、ネットで機器を買って独学していた⁠[3]。

The Next Webによると、押収品にはSDR受信機とスマートフォン2台も含まれていた⁠[6]。弁護人は、ポケットに入れていた無線機のボタンを誤って押したと説明した⁠[6]。

公共電視の4月30日の記事では、鐵路警察局刑事大隊長が、大学生が遊びで達成感があったと話したと述べた⁠[14]。

知新聞は、大学生が検察官の再聴取でパラメータを男性から得たと述べ、男性は4月30日の夕方に拘提されたと報じた⁠[15]。男性は8万元の保釈となった⁠[15]。男性は、パラメータは2年余り前にネットの知人からもらい、大学生に無償で渡したと述べた⁠[15]。

芋傳媒が伝えた起訴の発表では、大学生の罪名は、鉄路法の重要な鉄道機構の設備の中核の資通システムに対し、理由なくコンピュータシステムの脆弱性を利用し電磁記録を変更して正常な機能を害した罪などだった⁠[8]。男性には、刑法の、理由なくシステムの脆弱性を使って他人のコンピュータの設備に侵入した罪の幇助を当てた⁠[8]。検察は、大学生が無線技術への個人的な好奇心から犯行に及んだとみた⁠[8]。

立法院交通委員会の質疑

ETtodayが伝えた4月30日の委員会では、立法委員が、高鐵の無線電システムは2007年から19年替えておらず、7段の検証の手順があると述べた⁠[13]。交通部長は、盗まれたのではなく信号が盗録されて使われたとみられ、内部の問題か外部の制御・暗号の窃取かを確かめていると答えた⁠[13]。鐵道局長は、システムは2007年の建置だが、機器と暗号の検証の仕組みは台灣高鐵が定期的に処理していると述べた⁠[13]。

交通部政務次長は5月4日の交通委員会で、国安の問題だとする立法委員の質問に対し、高鐵と台鐵は防護を全面的に点検したと答えた⁠[17]。鐵道局に捷運の点検も求めさせ、1か月以内に検討報告を出すとした⁠[17]。

説明の食い違い

台灣高鐵は、4月5日23時52分に簡訊で鐵道局と運安會に通報したと説明した⁠[17]。運安會の主任委員は交通委員会で通報を受け取っていないと答え、鐵道局は受け取ったとした⁠[17]。運安會は、通報が要る事故は火災・脱線・衝突・信号違反などで、今回の告警は通報の範囲でないと補足した⁠[17]。

無線電手機の管理の見直し

NOWnews今日新聞の9月2日の記事では、鐵道局が臨時検査で観察事項を示し、台灣高鐵の改善の完了を確かめた⁠[7]。

  • TETRAの監視の仕組みに「短時間同TETRA ID異地註冊」の検知機能を加えた⁠[7]。
  • 無線電手機を全数回収し、TETRA IDを更新して無作為の番号と読み取りの暗号化設定にした⁠[7]。
  • 手持式無線電の保管・管理の規則を見直して社員に順守を通知し、今後は正式な規章に入れる⁠[7]。

鐵道局は進んだ認証・暗号化の技術の導入の評価も勧めており、台灣高鐵は評価と計画を始めている⁠[7]。台灣高鐵は手持無線電系統に監視と巡検の仕組みを加え、既存のシステムに「身分加密驗證系統」の機能を加えており、完成後すぐに稼働させる⁠[7]。

知新聞の9月2日の記事によると、鐵道局は観察事項と建議事項の実施を引き続き追跡する⁠[18]。

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未公表の事項

  • Tetraシステムのパラメータが台灣高鐵の外に出た経緯
  • 台灣高鐵の無線網の暗号化と認証の設定
  • 停車と遅れの影響を受けた乗客の人数
  • 「身分加密驗證系統」の稼働の時期
  • 交通部が出すとした検討報告の内容

注

  • 〔注1〕NOWnews今日新聞とETtodayは、遅れを12分から20分と報じた⁠[7、11]。Midnight Blueは、運行の乱れが0時11分に終わったと整理した⁠[10]。
  • 〔注2〕知新聞は、台灣高鐵が発信元の無線機の番号が烏日站で保管するものでないと気づいて通報したと報じ、通報の日を「9日」とした⁠[15]。

出典

公的機関

調査・観測

報道機関

更新記録

  • 2026年5月10日:公開した。
  • 2026年5月15日:資安人科技網の5月15日の記事(出典5)を加え、「経緯」を改めた。
  • 2026年5月17日:The Next Webの5月17日の記事(出典6)を加え、「影響範囲」と「対応と現状」を改めた。
  • 2026年9月2日:NOWnews今日新聞と知新聞の9月2日の記事(出典7、18)を加え、「時系列」「対応と現状」「注」を改めた。
  • 2026年10月7日:芋傳媒と三立新聞網の10月7日の記事(出典8、9)を加え、リードと「経緯」「時系列」「対応と現状」を改めた。

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